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さて、今回質問いただいたのは、前回の『自作農創設特別措置法』に続く、行政法の過去問『農地買収処分』です。
詳しく解説していきます。
行政書士試験 行政法 『農地買収処分法』 問題
Q:農地買収処分によって、国が対象となった土地の所有権を取得したのち、第三者が相続により当該土地を取得したとして移転登記を済ませたとしても、買収処分による所有権取得について民法の対抗要件の規定は適用されないから、当該第三者は、当該土地所有権の取得を国に対して対抗することはできない。○か×か。
行政書士試験 行政法 『農地買収処分』 問題解説
まずは理解できるように問題を訳してみます。
Q:国は『農地買収処分』で、ある土地の所有権を取得した。
その後、その土地の持ち主が死亡し、持ち主の相続人がその土地の所有権移転登記を済ませた。
しかし、国が買収処分(国の強制買い上げ)で所有権を取得した場合は 民法の対抗要件(登記を持っているものが強い)の規定は適用されないため、相続人は土地の所有権を国に主張することはできない。
○か×か。ということになります。 赤文字のところがポイントです 。
前回の『自作農創設特別措置法』の時、
『自作農創設特別措置法』 の 農地買収処分は、国が権力を使って農地を強制的に買い上げるものだから、民法上の売買(=私人間の売買)とは本質が違う。だから民法の対抗要件の規定は適用されない。
という判決がありました。
だから今回の場合も 民法の対抗要件の規定は適用されない。
と考えてしまっては出題者の思うつぼ。
前回と今回で大きく状況が違うことにお気づきでしょうか。
前回は農地買収処分前の話。今回は農地買収処分後の話。
今回は国が所有権を取得した後のことをきいています。
不動産の所有権を対抗できる方法は『登記の有無』でしたよね。
これは個人であろうが国であろうが適用されるルールです。所有権を客観的に主張できる方法が登記だからです。
このことは判例でも詳しく述べられています。
【いかなる原因によるものであつても、不動産物権の変動があつた場合において、これとていしよくする物権の変動が生ずる可能性があるときは、特別の規定または公益上重大な障害を生ずるおそれがないかぎり、不動産物権公示の原則に照らし、当該物権の変動について民法一七七条が適用されるものと解するのが相当である。】
よって、答えは【×】となります。
まとめ
いかがでしたか?
似たような内容でも場面が違えば当然考え方も違います。
キーワードだけで判断することが無いように気を付けながら、問題を解くようにしていきましょう!
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