行政書士試験の憲法科目は大きく分けて人権分野と統治分野の2分野で構成されています。
人権分野は幸福追求権や思想及び良心の自由、表現の自由、生存権などの人権に関連する内容、統治分野は天皇、内閣、立法(国会等)、司法(裁判所等)等、日本国の統治の仕組みについての内容です。
その中でも特に人権分野においては判例学習が非常に重要です。
なぜ判例学習が重要なのか。今回の記事ではその重要性と判例を学習することの意義についてお伝えいたします。
この内容について理解した上で憲法を勉強するのと、そうでないのでは勉強効率に大きく差が生まれます。
・これから憲法の学習を始める方
・憲法の得点がなかなか上がらない方
・憲法の学習で苦戦している方
にとっては有益な内容となっておりますので、是非一度目を通してみてください。
なぜ判例学習が大切なのか
そもそも、憲法ではなぜ判例学習が大切なのでしょうか。
民法や行政法といった他の法令科目では、あらかじめ条文中に保護されるべき内容や罰則等が定められています。
裁判所は、ある事案に対して、被告原告の落ち度を比較衡量することや被告人の罪の重さ、責任の有無等について客観的に判断する役割を担っています。
言い換えると、民法や行政法に関係する事案については、裁判所はその法律の内容について公正中立に判断することを主な役割とし、その法律の内容について個別具体的に決めるといったことは基本的にはありません。
一方、憲法における裁判所の役割はそれとは少し異なります。
憲法には【人権】について条文という形で規定されています。
しかし、その条文は言ってみれば本のタイトルのようなもので、人権の具体的な内容や範囲といった本の中身までは定められておりません。
人権の個別具体的な内容については、裁判所がその役割を担うのです。
憲法に関連する事案については、裁判所はその事案を通して、憲法に規定される人権について保護される範囲や具体的な内容を判断します。
つまり、裁判所の解釈によって人権の内容が決まるというわけです。
そしてまた、一つの事案で下された判決の理由は後の類似の事案の判断の基準となります。
ですから、憲法学習では基礎となる重要な判例を学習することが非常に大切です。
憲法学習の方法
先程、憲法の条文は本のタイトルのようなものとお伝えしました。
そして、中身については裁判所の判断で具体的に決まるともお伝えしました。
大体、一つの条文(人間の権利)につき、1~3程度の判例があります。
その判例については、ある事件に対して、裁判所が条文をどのように解釈し、どのような結論を導き出したか。
その判断の趣旨を理解するように学習を進めましょう。
憲法の学習法、対策についてはこちらの記事で紹介していますので、併せてお読みください。
判例集は買うべきか
行政書士試験においては判例集を買う必要はない。というのが私の考えです。
憲法分野は行政書士試験においてそこまで重要な科目ではなく、適切な時間と学習量でそこそこの得点を目指すべき、というのがその理由です。
憲法の出題は、難問・奇問と基礎問題とで構成されていることが多いです。
難問・奇問とは判例の細かな部分を問うものや、他の資格試験でもあまり問われないような判例を問うものを指し、基礎問題はテキストや問題集、過去問を使って学習すれば確実に得点できる問題を指します。
例年、基礎問題は5肢択一式で2~3問、多肢選択式で2問以上出題されています。
基礎問題をしっかり得点できれば、憲法が原因で不合格になることはまず考えられません。
判例集が必要となるのは、この難問・奇問の類を得点しようとする場合です。
たった8点・12点。しかも、勉強したとしても必ず得点できるかどうかもわからないような問題の為に、貴重な時間と労力をかけるべきではない。
その時間と労力は行政法や民法、あるいは一般知識分野に回したほうが、合格の可能性を高められます。
ですから、判例集を買う必要はない。というのが私の考えです。
適切なところに適切な資源を投入する。
これが行政書士試験合格のために重要な考えです。
※ちなみに六法全書についても買う必要はないと考えています。
行政書士試験のテキストには、ポケット六法といって、法令科目においてよく出題される条文や重要条文についてまとめたコンパクトな六法がついているものがあります。
テキストと、このポケット六法だけで十分、行政書士試験の条文知識問題に対応可能です。
ですから、わざわざ分厚い六法全書を買う必要はない。と私は考えます。
行政書士試験 憲法 判例まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、憲法の学習における判例勉強の意義についてお伝えしました。
この内容について理解した上で憲法を勉強するのと、そうでないのでは勉強効率に大きく差が生まれます。
憲法にどれぐらいの比重を置くべきか等の関連する情報についても併せてご紹介いたしました。
当記事を読まれたみなさまの憲法学習が、より効率の良いものとなることを願っております。
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